デジタルライブエンターテインメント市場規模は急拡大。2023年に700億円超、2024年には約1000億円へ

株式会社サイバーエージェントの連結子会社である株式会社CyberZ、 株式会社OEN(オーイーエヌ)は、 株式会社デジタルインファクトと共同で、 国内デジタルライブエンターテインメント市場に関する市場動向調査をおこないました。


本調査では、 アーティストが音楽ライブや演劇などを主にステージ上で演じ、 ライブ配信で提供されるコンテンツを、 デジタルライブエンターテインメント(※1)と定義し、 その市場規模を推計・予測しました。 調査結果は以下の通りです。

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■2020年の市場規模は、 140億円の見通し、 2021年には前年比約2.2倍 314億円に急拡大と予測

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、 リアルな会場で開催されるライブエンターテインメント(以降リアルライブ)は、 2020年2月頃より興行者による開催自粛が相次ぎ、 従来のようなリアルライブの開催は困難な状況です。 このためアーティストや興行者の収益機会は大きく減少、 ぴあ総研によると、 2020年のライブエンターテイメント全体の市場規模は1836億円、 前年比70.8%減と見込まれる※2など、 業界全体に深刻な影響を及ぼしています。


一方で、 政府や地方自治体による外出自粛要請の影響を受けて消費者の巣ごもり需要が拡大、 オンラインを介したライブコンテンツの視聴・消費機会は高まりつつあります。


従来プロモーション目的において、 一部のアーティストによる大手動画配信サイトでの配信ミュージックビデオの配信などにとどまっていたライブコンテンツのデジタル活用は、 コロナウイルス感染拡大をきっかけに、 本格的な収益獲得を目指す取り組みとして急速に進みました。  


2020年春以降、 デジタルならではのライブ演出をおこなう「SUPERLIVE by OPENREC」や、 「ABEMA PPV」、 次世代チケット販売プラットフォームのZAIKOといった動画配信サービスをはじめ、 多くの事業者がライブ動画配信を開始、 2020年の夏には大型音楽アーティストによる興行が増えました。 そのジャンルは音楽にとどまらず、 舞台や朗読劇、 声優イベントなど、 コアなファンコミュニティーを伴ったジャンルのアーティストを皮切りに、 デジタル化対応が進みました。 また、 ドームからライブハウスまで、 幅広い動員観客規模のライブがデジタル化されました。


2020年のデジタルライブエンターテイメント市場規模は、 140億円に達し、 翌2021年には、 前年比約2.2倍の314億円規模と急拡大すると予測されます。


■デジタル化進展における課題と取り組み

デジタルライブエンターテインメントが今後さらに普及していくためには、 リアルライブにおけるアーティストと双方向のコミュニケーションを、 オンライン上でいかに再現することができ、 放送音楽番組との差別化を図ることができるかが、 課題の一つです。


無観客ライブにおける演出の一環として、 リアルライブで行われているアーティストと観客とのコール&レスポンスをオンライン上で再現する演出や、 ライブ視聴者の姿を会場の巨大スクリーンに映し出すなど、 視聴者参加型の取り組みが、 各社の工夫により行われております。


また、 収益面においては、 リアルライブにおいて、 アーティストの大きな収益源の一つであるライブグッズの会場販売の代わりにECサイト・グッズストアへの集客促進を図り購入を促し、 品ぞろえの拡充による“売るための工夫”や、 オンラインくじの提供などのオンラインならではの仕組みを取り入れた興行も増えつつあります。


新型コロナウイルスの感染拡大にともない、 ライブ興行者側からのデジタルライブの実施についての問い合わせ件数が日ごとに増え、 動画配信プラットフォームはタイトなスケジュールの中での「サービス開発として実現可能なもの」「収益性」を考慮すると全てのライブエンターテイメントのデジタル化に対応しきれない現状課題もあるなかにおいて、 今後は、 ドームクラスに限らず、 ライブハウス規模や、 劇場型などの中小規模のエンタメ興行のデジタル化への取り組みにも期待が寄せられています。


■デジタルライブエンターテインメント市場は2023年に700億円超、 2024年には約1000億円へ

2021年以降は、 新型コロナウイルス感染拡大への対策が進み、 リアルライブ需要は2019年以前の水準に向けて緩やかな拡大基調を続けることが予想されます。 その一方で、 リアルライブにおける感染症対策を前提にした物理的な収容人員の抑制などによる収益機会の減少を補う手段として、 デジタルライブ配信による収益拡大を図る取り組みは、 不可逆的に進むことが予想されます。


今後は、 CG合成技術を活用するなどにより、 今までにない新しい表現を用いたデジタルならではの新しいユーザー体験を、 収容人数の制限なく幅広いファンに対して届けることが可能となります。


また、 ライブ終了後にもビデオチャットツールを活用したファンとの新しいコミュニケーションや、 Eコマースを有効活用した限定グッズの発売など、 従来の方法に縛られない新しいビジネス機会が生まれており、 周辺産業への波及効果も期待されます。


ライブエンターテインメント業界は、 新しい社会環境に対応し、 リアルとデジタルの双方を活用した今までにない収益モデルの構築と、 エコシステムを生み出すことで、 再び持続的な成長を遂げることが期待されます。 デジタルライブエンターテインメントは、 ライブエンターテイメント業界の再成長を支えるにとどまらず、 新しいライブエンターテインメント需要を生み出すことにより、 2024年には984億円規模に達すると予測されます。


※1:ユーザーがオンラインを介してデジタルライブエンターテインメントの視聴に対して都度支出する金額の年間総額。 ライブエンターテインメントは、 音楽や演劇などの、 主にステージ上で提供される有料エンターテインメントサービス

※2:出典:ぴあ総研 2020年6月30日公表、 ライブエンタ-テイメント市場規模調査

https://corporate.pia.jp/news/detail_live_enta_20200630.html


■調査概要

調査主体:株式会社CyberZ、 株式会社OEN

調査時期:2020年4月から2020年7月

調査方法:ライブエンターテインメント業界各社へのヒアリング、 調査主体ならびに調査機関が保有するデータ、 関連企業・機関データ、 公開情報の収集

調査対象:ライブエンターテインメント市場

調査機関:株式会社デジタルインファクト

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